活動日誌−愛西市議団
【11.10.28】三重県玉城市「元気バス」視察
10月28日(金)、共産党愛西市議団は弥富市議団といっしょに三重県玉城町の「元気バス」を視察しました。
城跡に役場や学校がある玉城町
玉城町は、志摩半島の付け根にあり、伊勢神宮のある伊勢市の隣です。人口約15,400人、面積約41㎢。かつては伊勢神宮の参拝客の宿場町としてにぎわったそうです。織田信雄の居城にもなった田丸城の石垣の上には、現在、中学校があり、町役場も堀の内側にありました。大河ドラマ『江』に絡めてPRをしていました。
オンデマンドの乗合バス
「オンデマンド」とは、聞き慣れない言葉ですが、「需要に応える」つまり、利用者の希望に応じてバスを配車する乗合バスです。
玉城町では、3台の10人乗りバンが使われ、利用者は、町内146あるバス停から乗る場所と降りる場所を選び、希望時間を予約します。電話や公共施設などにあるタッチパネルから予約でき、一週間前から利用直前の30分前まで受け付けます。もちろん、すべての希望に応えるのは無理なので、後の方になれば、利用者の希望を配車に合わせてもらうこともあります。ルートも乗り合わせる利用者によって変わります。(フルデマンド方式)
こうした方式は、かつては、配車やルート決定が大変な作業で、費用もかかりました。玉城町は、東京大学の研究しているシステムを安く借り上げ、社会福祉協議会に委託し、運転手2人、オペレーター2人(1人は運転手兼務)で運営しています。登録者は約1000人、多くは高齢者ですが、施設に通う障害者や通塾で利用する子どもも登録しています。
玉城町でも以前は福祉バス(巡回バス)が2台走っていました。年間約27,000人の利用者がありましたが、「空気バス」という批判もありました。町は「サービスを向上させたい。でも予算はかけられない」と調べる中で、オンデマンド交通に決めたと話されました。
実際には、福祉バス時に比べて、費用が減ったわけではなく、利用者も「やっと福祉バスに追いついた」ところです。しかし、バス停が53から146に増え(利用状況に応じて増設、廃止がすぐできる)、希望する時間に利用でき、利用者には好評です。また、利用実態も詳しくつかめるので、今後のサービスに生かすことができます。
明るく・元気に・長生きを
生活福祉課長の林裕紀さんは、「国民健康保険で60から64歳と65から69歳を比べると、6人増えただけで医療費が年1億円も増えている。65歳以上の方に乗ってもらいたい」と話していました。
高齢者にとって車が「いきがい」や「よろこび」になるのではなく、でかける「たのしみ」をもってもらう、行政も「でかけさせる」外出支援サービスを展開しています。
さらに「生活している」シグナルから生活弱者を地域で見守る体制づくりとして、バスのシステムを利用し、携帯電話やタッチパネルからの緊急通報や近親者へのメール送信、利用履歴による安否確認などへ広げています。
「公共交通というより生活交通。乗ってもらうことが大切。有料化は考えていない」と話され、町民が元気に安心してくらせるようにと熱く語る林課長に感銘を受けました。
議員団として、愛西市の巡回バスにどう生かしていくかさらに勉強し、市に提案します。
東京大学の運行システムについては、林課長も「導入前の予測も大変正確だった。(今の巡回バスの運行の方法に関しても)問い合わせてみては」と話されていたので、相談するよう市に提案したいと思います。
真野和久